国際崆峒派武術協会

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花舞影老師がアルゼンチン支部を訪問

2024年10月、崆峒派武術第十一代掌派人、花舞影老師がアルゼンチン支部を訪問されました。以下は老師によるレポートです。


アルゼンチンの首都、ブエノスアイレス市は東京とちょうど地球の反対側に位置する。南半球にあるので東京が秋の時ブエノスアイレスは春、時差は12時間あり、空路で飛行機で行くにも30時間はかかる。


張為民氏は、1964年生まれ、中国広州市で1980年代に崆峒派武術第十代掌派人、燕飛霞老師に師事する。1994年にアルゼンチンに移住し、ブエノスアイレス市で著名な台湾出身の中医で気功家の鐘清氏から中医学を学び、治療の仕事のかたわら崆峒派武術を教えてきた。2019年に、張氏から連絡を受けた私は、平涼で彼と初対面し、共に燕老師の墓参りをし、彼をアルゼンチン支部の支部長に任命した。2023年夏、張老師は彼の生徒で広報担当のマリアーノとその妻マリーナを伴って来日し、東京を訪れ、高田馬場の本部道場で私から武術指導を受け、当会の会員たちとも交流した。


高齢で視覚障碍者の私にとって今回の旅行は負担が重いという懸念はあったが、アルゼンチン支部の熱意と、まだ訪れたことのない南米大陸への興味に動かされ、渡航を決意した







10月1日(火)

12時20分、ルフトハンザ航空の便で羽田を出発。13時間のフライトを経てフランクフルトに到着。2時間後フランクフルトを出発。

10月2日(水)

朝6時25分、ブエノスアイレス国際空港に到着。アルゼンチンの国旗は上下に水色のストライプ、中央の白い部分に黄色い太陽が描かれている。到着日のブエノスアイレスの天気は、空が抜けるように青く、強い太陽光線が地面に長い影を映していた。張老師、マリアーノ、アレハンドロに出迎えられて、空港近くのマリアーノ、マリーナ夫妻の家に移動、ここに二泊する。午前中は持参した崆峒派に関する資料の説明、滞在中の活動の打ち合わせ、昼食後庭で棍術の指導。


10月3日(木)

午前中マリアーノ宅の近くにある体育館で午後の交流会の準備をしながら、マリアーノ夫妻に武術指導。

15時より生徒たちの表演を参観。花架拳の基本套路、初級花架剣、太極八勢、達磨神功、昼食後は達磨神功、太極球など。これらの套路は全て私が動画を送ったり、去年来日した代表団に指導したもので、生徒たちの動作を手直しし、指導の修正を行う。この日の参加者は13歳の少女から92歳の老婦人までと幅広かった。

夕方、生徒たちが持ち寄った軽食を体育館でいただきながら歓談、交流。

10月4日(金)

午前中、荷物をまとめブエノスアイレス市中心街にある張老師宅に移動、帰国までここに滞在する。昼は市内のレストランでアサド(肉のグリル、アルゼンチンの代表的な料理)をいただく。

午後、市内の公園で昨日とは別の生徒たちの表演を見たり、指導を行う。

夜は張老師宅で奥様の広東料理をごちそうになる。食後は翌日の張老師による崆峒派武術についての講演内容を調整。

10月5日(土)

午前中、市内の公園で鐘清氏(台湾出身の著名な中医、気功家)の生徒たちの練習(八段錦などの練習)を参観し、崆峒派の気功や花架拳を一緒に練習するなど交流。市内のレストランで昼食。

午後、中心街にある鐘清氏の中医学気功研究所で張老師による崆峒派武術についての講演。

私は生まれて初めて、自分と崆峒派武術との出会いについてスペイン語でスピーチをした。緊張したが、何とか無事に終え、集まった聴衆の皆さん(崆峒派アルゼンチン支部の生徒たち及び鐘氏の研究所の関係者)から暖かく受け入れていただくことができた。アルゼンチン支部は張老師が支部長に任命された2019年を正式な創立年とするので、今年は創立5周年にあたり、アルゼンチン支部側から東京の本部当会に記念の言葉を刻んだ鉄製のプレートを贈呈され、こちらからも祝辞を記した旗をこの場で取り交わした。

散会後、鐘教授のお宅で奥様の手料理をご馳走になる。台湾料理が出てくるかと思いきや、日本滞在が長かった料理上手の奥様のカレーもなかなか美味しかった。


10月6日(日)

少し郊外の公園で生徒たちの指導。この日は風が強く気温も低めだったので、基本功、弾腿、崆峒拳などを練習。マリアーノやアレハンドロの飛龍南拳も手直しした。昼は近くのレストランでアサド料理、午後は市内観光をして、夜はアルゼンチンタンゴを見ながら夕食と、練習三昧とは一味違うブエノスアイレスを楽しむ。

10月7日(月)

午前中、公園で練習。伏虎棍の套路を最後まで教え終える。昼は張老師の生徒で日系アルゼンチン人の方のお宅で昼食をご馳走になる。

午後、再び公園で練習。

夕方、市内の会場でマリアーノとアレハンドロが張老師に拝師するための儀式を執り行う。生徒たちも参観。セレモニーの後、会場で会員が持ち寄った軽食やお菓子をいただきながら反省会。全員が一緒に車で空港へ。チェックインを済ませた後、みんなでお茶を飲み、いよいよ別れの時が。16時45分発の便でフランクフルトへ。翌々日の10月10日午前10時に羽田着。

初めてこんなに長時間の飛行機の旅を経て訪れた南米大陸。これで5大陸全てに足を踏み入れたという達成感とともに、様々な刺激とインスピレーションを受け、次回はさらに広範囲に視察し、理解を深めたいと思った。ブエノスアイレスで印象に残ったことの一つは、人懐こくて愛情表現豊かな犬たち。これは国民性を反映しているのだろうか。滞在中はずっと好天に恵まれ、張老師、マリアーノ夫妻、アレハンドロが常時付き添ってくれたので安心、快適だった。

今回は張老師と鐘教授の奥様にも初めてお会いし、鐘教授の長女で中医学・気功研究所でのイベントで司会をしてくれたアンヘラ、観光ガイドと拝師の儀式の司会をしてくれたパトリシオにも再会できてうれしかった。アルゼンチン支部のますますの発展を祈るとともに、これからも交流をより深めていきたいと思う。

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